提供:野村町の被災者の方

肱川のダム放流を考えるためのサイトです。
地域活性化の灯を消さず、二度と同じようなことを起こさないために―

台風19号の被害と事前放流

◎事前放流と国の賠償責任

 大洪水が予想される場合、事前放流をしてダムの容量を増やしておけば、その分だけ最大放流量をカットできるので被害が軽減できる。このことは、ダム管理の責任者である国土交通省にとって自明のことである。
 それにもかかわらず、今回の台風19号の場合、2つのダム(美和ダム、高柴ダム)に置いては事前放流が行われたのに、4つのダム(城山ダム、塩原ダム、水沼ダム、竜神ダム)においては行われなかった。これは明らかに任務懈怠であり、水位が50センチ低ければ助かった人もいるのだから、ダム事務所の責任は重く、事前放流をしていれば免れた被害に対して損害賠償義務を負うと考えるべきである。 操作規則に事前放流の規定がなかったとしても、国土交通省は操作規則の弾力的な運用を否定しておらず(省関係の出版物で奨励している。)、操作規則に規定されていないことが免責の理由にならない。
 多目的ダムの場合、渇水になって利水権利者に損害を与えるという主張があるが、現在の気象情報(雨量予想)から、利水容量を確保できることは明らかな状況であり、到底、渇水になるようなことは考えられず、この主張は現在の気象情報(雨量予想)の精度を無視した非常識なものである。
 また、利水者の同意の手続きが緊急を要する事態であるから取りにくいという主張もあるが、これも実態を無視したものである。大洪水が起こる台風の接近は2・3日までに分かるのであり、少なくとも1日前に利水者の同意を得ることは容易である。なお、昨年大被害が生じた野村ダムにおいては、利水権利者に対する同意を電話1本で取り付けており、利水者は近隣地方公共団体であることが多いので、十分に状況を理解して同意してくれるはずである。
(R1.10.30更新)

ダム放流の訴訟に関する説明会について

6月6日(日)に、大洲市総合福祉センターにて訴訟に関する説明会を開催します。ダム放流の問題点や、裁判で明らかになったことをご説明します。ぜひ、ご参加ください。


野村ダムコーナー

「野村ダム放流を検証する住民の会」が設立されました。

野村ダムの構造

鹿野川ダムコーナー

「ダム放流を考える大洲市民の会」が設立されました。

鹿野川ダムの構造


今後、それぞれの会の活動および被害状況の報告していきます。

活動報告

「野村の未来を守る会」の発足

 

20181010日の夜、西予市野村町の野村中央公民館で「野村の未来を守る会」が発足した。77日の早朝、突然の野村ダム放流とそれに伴う激しい溢水で肱川沿いの町並みが破壊された野村町。

 

これまで「野村ダムの放流を検証する住民の会」(代表・和氣數男さん)で、この水害について調査をしてきたことをふまえ、「安心して住み続けられる故郷づくりのために」野村の未来を見据えて歩を進めようと、改組して新たに「野村の未来を守る会」を立ち上げたものだ。

 

設立総会には住民60名ほどが参加したが、総会に先立ち、発起人のひとりである河野修三さんから「被害住民への聞き取り調査」について、弁護士の奥島直道さんからは「野村ダム事務所と西予市との連携への疑問」について報告が行われた。

 

河野さんの「被害住民への聞き取り調査」では、多くの住民にとって放流・溢水が文字どおり「寝耳に水」状態であったこと、天災と言うより「人災」であると感じていることが明らかにされ、また、奥島弁護士からは情報公開で入手した538分、63分、636分の「ダム連絡」faxに示された危機感の乏しさ(63分のfaxでは「放流開始が650分頃」とされているのに、636分のfaxではすでに620分に放流しており、ダム事務所は西予市に連絡なく30分も前に放流している!)などについて指摘があった。

 

設立総会では、以下のようなこの会の目的等が示されるとともに、代表に和氣數男さん、副代表に2人、その他事務局役員が選任され、参加者の拍手をもって会の発足となった。

 

     ダムの放流とその後の対応については、ダム事務所と西予市・愛媛県から説明があったものの、被害に遭った住民には納得の行くものではなく、まずは住民でしっかり検証した上で住民が主体となって説明を求めることが必要

     水害の責任を明らかにしてそれに基づいた被害補償を求めること

     未来に向けて安心と希望の持てるまちづくりを進めること

     これらの活動について広く知ってもらい賛同者を募ること

 

 また、新築して間もない被災住民のひとり(若い男性)から、76日には肱川の水位が上昇しているのを見たこと、天気予報で異常降雨が伝えられていることから、夜8時ころ野村ダムの管理事務所に状況を問い合わせた。宿直の職員に念を押して尋ねたところ、ダム放流は現状を維持したままつづけるので問題はないというので、雨戸を閉めて就寝した。

 

雨と雨戸のためか近況放送等にはまったく気づかなかったが、朝に知人からSNSで避難指示が出ていると知らされ、雨戸を開けたらもう大変だと家族であわてて避難してようやく助かった、という体験報告があった。ダム管理がいかに危機感なく行われていたかを示すエピソードである。

 

 総会では、住民の声をまとめ、専門家や協力者の支援を受けながらも住民が主体となって国交省・西予市・愛媛県の責任を明確にし、被害補償を求めること、これから未来に向けて野村のまちづくりに力強く歩を進めることなどを確認し、終了した。

説明会報告

◎大洲市の説明会(2018918/20/21日)

 

水害が起こって2ヶ月以上たって開かれた大洲市の説明会は、残念ながら水害が起こって2ヶ月以上たって開かれた大洲市の説明会は、残念ながら、誠実に回答するという姿勢が国土交通省にも、大洲市にも見えませんでした。

最初に行われた菅田地区での説明会では、住民の方から、国土交通省や大洲市の職員の態度について、「笑っていたり、膝をついてきいたりして、真剣みが足りない。」という発言がありました。

 

洪水の原因は、あきらかにダム放流ですが、洪水被害を大きくしたのは大洲市の避難指示の遅れでした。

ところが、今回のダム放流による洪水被害の責任を明確にしようとする「ダム放流を考える大洲市民の会」には、質問の時間を与えないようにしようという意図で、司会者(議会事務局長)が質問者を選んでいるように見えました。

 

議会の機能は行政をチェックすることにあるので、大洲市が行う説明会で議会事務局長が司会進行を行うことは、この議会のチェック機能の点から問題があるとともに、巧妙に行政にとって都合の悪い質問をさせないように誘導しているようでした。

 

なかでも肱川での説明会(921日)はひどいものでした。

質疑応答の時間にもかかわらず、質問を受け付ける前にまず参加者の一人に、ダム放流および洪水の責任を明らかにする必要がないという話をさせました。この人がなぜ、特別に質疑応答の前にこのような話をしなければならないのか、仕組まれていたとしか思えません。

 

私たち「ダム放流を考える大洲市民の会」の3名は最初から、ずーっと手を上げていましたが、最後の最後になって、もう時間がないという形にしてから、私たちの発言が認められました。

 

ところが奥島代表が質問を始めると、前列の女性がにらみつけるように振り返りました。質問に対しては、明らかに大洲市長も山鳥坂ダム工事事務所所長もまともに答えません。それを正そうとするとヤジが起こり、ある市議会議員(2名)までがヤジを飛ばす有様でした。

 

そのうえ、奥島代表の質問で終了するはずであったのに、なぜか、先ほどの女性にマイクが渡され、涙ながらに補助金を出してほしいという話にすり替えられて、ダム放流による避難指示が遅れた理由を明確にしようとする私たちの会の質問には答えないまま、説明会は打ち切られました。

 

 

二宮市長は、納得のいくまで質問を受けますと言っていましたが、ダム事務所からの最大で6,000トン/秒というとてつもない放流予告があったにもかかわらず、ただちには避難指示を出さず、実際の避難指示まで30分ものタイムラグあったことについては明確な説明をしませんでした。責任逃れに終始し、時間切れにさせた説明会でした。

8月21日に開かれた住民説明会(肱川風の博物館・歌麿館)
8月21日に開かれた住民説明会(肱川風の博物館・歌麿館)